2024.06.29更新
せきがはら人間村生活美術館にて現在開催されている彫刻家、新妻実さんの企画展を見に行ってきました。
お目当ては美術評論家の酒井忠康さんと水沢勉さんのトークショーです。以前に武蔵野美術大学で開催された彫刻家若林奮さんの企画展のトークショーでお二人の話を伺ったときに目からうろこが落ちるような体験をさせてもらってからファンになりました笑。
酒井さんはご都合でいらっしゃらなかったのですが、急遽お弟子さんでもある彫刻家の近持イオリさんが代役で登壇され、制作を手伝われた実体験から感じられた新妻像を伺うことができました。
水沢さんの言葉ですが、初めて関が原に訪れた際に、工場と町と関ケ原の自然と一体となってアートが存在している様子に大変驚かれたそうです。確かに知る人が見れば驚くような貴重な作品が、なんの垣根もなくふとそこに置いてある。草木に侵食されてまさに自然と一体化しつつある作品もあって、これまで街中や美術館で見てきた彫刻に感じていた象徴性というか権威というか、そういったものを感じさせない中で対峙できる場所だなと思います。
数年前までは彫刻は難解というイメージがあって、あまり目を向ける機会がありませんでしたが、近ごろとりわけ興味がわいています。とくにモノ派と呼ばれる作家たちの作品に対する考え方がとても興味深く、たくさんの学びを与えてくれる気がしています。超絶技巧や作品そのものにすべてをこめるような表現方法ではなく、できる限り身の回りにあるもので新たな見方、自然や人との関係を作り出そうとする試み、とても面白いですね。
せきがはら人間村生活美術館にはモノ派の作品が多く置かれていますが、その人間の営みのなかに自然にアートを存在させようという思想とつながって、とても腑に落ちた気がしました。
お詳しい方、アートビギナーのわたくしにいろいろ教えていただけると嬉しいです。
また、梅雨のさなかでしたが奇跡的に晴れ間が広がっていて、初夏の関が原を堪能することができたのも良かったです。
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